「アート×教育=?」プロジェクト 第一弾 山本高之
《Facing the Unknown: Dark Energy》
6-29(sat) - 7/14(sun) 10:00 - 18:00
千葉市美術館1階プロジェクトルームにて
「アート×教育=?」プロジェクト
WiCANは、社会におけるアートの意味について実践的に探求してきました。2010年度からは教育や学校をテーマとし、アートの視点から教育について考え、提案を実践してきました。
今年度のプロジェクト「アート×教育=?」では、現代美術家の岡田裕子さん、山本高之さんの協力を得て、現代の日本の教育が含んでいるあいまいさや矛盾を可視化し、教育の抱える課題をあぶりだすような取り組み行いたいと考えています。
今回の展示は、WiCAN2013で共に活動するアーティストを紹介するために行うものです。その第一弾として、山本高之さんが昨年度より千葉市内の学校の協力を得て取り組んできた作品《Facing the Unknown : Dark Energy》をご覧いただきます。
《Facing the Unknown : Dark Energy》
「みんなはどこにいるんだ?」
エンリコ=フェルミ
「こわがるこたあないんだぜ。痛くもなんともねえんだからよ。」
はてしない物語・ミヒャエル=エンデ著/上田真而子・佐藤真理子訳
本展示では、WiCAN2013で共に活動する現代美術家の山本高之さんの《Facing the Unknown: Dark Energy》を紹介しています。2013年2月に千葉市内の中学校で行われたワークショップをもとにして制作されたこの作品には、三つの段階が構造として組み込まれています。
1)段ボールの内部に個人の世界を表現する
生徒たちは、一人に一つ与えられた大きな段ボール箱の内側に、それぞれの好きな個人的世界を表現します。その結果、それぞれ異なる内面をもった、18の「個」のスペースが生まれます。
2)段ボール同士がつながれ、うごめく
生徒たちは、この段ボールに小さな覗き穴を空け、その中に入って3分間自由に動き回ります。次に、二つの段ボールがテープでつながれて3分間、その次には四つがつながれ、さらには九つがというように、回を重ねるごとにテープでつなぎ合わされた塊は大きくなり、最後は一つにまとめられてしまいます。誰かが明確な指示を出しているわけではなく、力を行使する存在が見えないまま、塊は不気味にうごめき続けます。
3)体験を振り返る
後日二度にわたり、一部の生徒に「そのとき体験したこと」について振り返ってもらいました。二つのモニターでは、その様子が映し出されています。
生徒たちがこのワークショップを通して体験したものは何だったのでしょう。それは、かつて体験したことのない、「未知の身体感覚」だったのかもしれません。段ボールの暗闇の中で、彼女たちが何を考え、どのようにコミュニケーションを図ったのか、直接体験していない私たちは、彼女たちの言葉から、その感覚を推測するほかありません。
また、段ボールのうごめく様子を距離を置いて眺めるならば、個が「他者」と出会い、より大きな「集団」(=「社会」)を形成して、ある運動体となっていく状況と見立てることもできるかもしれません。他者と強制的につながれる中で彼女たちが感じたのは、果たして「安心感」だったのでしょうか、それとも「不自由さ」や「気持ち悪さ」に近いものだったのでしょうか。山本 高之 / Yamamoto Takayuki
1974年愛知県生まれ。チェルシー・カレッジ・オブ・アート・アンド・デザインMA修了。子どもが交わす会話や彼らの遊びに潜む創造的な感性を通じて、人間を育む社会の制度や慣習などの特殊性をシニカルに描き出すプロジェクトで知られる。主な参加展覧会に、「笑い展 現代アートに見る『おかしみ』の事情」(森美術館, 東京)、「あいちトリエンナーレ2010」(愛知)、「アジアの亡霊」(サンフランシスコアジア美術館)、「Your Voice Is Mine」(NUS Museum,シンガポール)など。
takayukiyamamoto.com/
千葉市美術館
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