WiCAN 千葉アートネットワーク・プロジェクト

2020年1月28日火曜日

トークイベント「不安からはじめる」無事終了しました!

こんにちは!

先日行われたトークイベント、「不安からはじめる」が無事終了いたしました!
ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました!!

今回は、トークイベントの様子をお伝えします。

 第一部では、アーティストの米谷 健 +ジュリアさんから、その経歴と自身の作品についてお話していただきました。

 
特に印象的だったことは、お二人とも日本の美術系大学出身ではないことでした。
 健さんは、学部は経済学専攻、その後金融ブローカーとして勤務。しかしその職場では、一瞬で莫大なお金が動くようなプレッシャーがあり、夜も眠れなかったとのことでした。(これに比べると、学生が100円、200円で買うか買わないか迷っているのも、逆に幸せなのかもしれません……)
 その後健さんは仕事を辞め、オーストラリアへ行きました。初めから芸術活動をしていたわけではなく、皿洗いの仕事から始まり、現地で美術関係の大学院に入り、環境問題をテーマにした芸術作品を作るようになったそうです。

 ジュリアさんはオーストラリアで法学部に在籍していましたが、弁護士になりたくないという理由で、ワーキングホリデイとして来日しました。その後オーストラリアに帰り、研究を続けたい気持ちから博士号を取得。その後、大学講師をしていましたが、健さんのアーティストとしての活動に興味を持ち、共に環境問題に関するプロジェクトを開始した、とのことです。

 お二人の作品についてもその背景や、制作の過程について語っていただきました。


 第二部では、今回の展示のテーマでもある「不安」をキーワードに、健さん、ジュリアさんと、WiCANの神野先生にお話をしていただきました。


 健さん、ジュリアさんも不安という気持ちにとらわれている部分があるそうですが、ジュリアさんはずっと同じことを繰り返さなければならないことが不安、とおっしゃていました。リスクを背負わず、安定した暮らしがしたい、と考えている人にとっては正反対の不安かもしれません。

 さらに、神野先生からの、日本のアートはもともと社会への関心が低く、パーソナルな事柄に終始しがちで、近年、社会に対する関心は強まりつつあれど、リサーチが甘くなりがちではないかという指摘を受けて、健さん、ジュリアさんがオーストラリアでの体験を語られました。
 それに対して、日本の美術界隈では自分の趣味嗜好のみで制作されること、社会とのつながりへの理解・関心が浅い現状があることについて、健さん、ジュリアさんのオーストラリアでの体験を語られました。
 お二人は作品を作る際に専門家から話を聞く、現地に足を運ぶなど多くの情報を取り入れようにし、素材を用いて世界とのつながりをむき出しにすることによって、明確な答えを作品で出すのではなく、鑑賞者から意見や反応を引き出すことを求めて制作しているそうです。
 これは今回の「不安読書週間」でも同様のことで、不安が良いもの、悪いものというように単純な結論を出すのではなく、不安が社会への関心を開くきっかけとなるのではないか、とおっしゃっていました。

 最後の質疑応答ではWiCANサイクルの「感じる」に対する質問や、健さんのブローカーとしての経験が今の作品制作にどう生かされているのかなどの質問が挙がりました。


 生きていく上で、不安は一生ついてきて消えないものです。それをどう扱うのか、ポジティブなものへと変えていく行動を取れるのかが、私たちに問われている。そんなことをお二人のお話を伺いながら考えました。
 非常に楽しく学びのあるトークイベントになりました。健さん、ジュリアさん、ありがとうございました!




2020年1月4日土曜日

開催予告「不安読書週間」のお知らせ

みなさん、あけましておめでとうございます。

WiCAN2019のイベントについて、お知らせいたします!

今年度は、アーティストの米谷 健+ジュリアさんとともに「不安」をテーマにしたプロジェクトに取り組んでいます。

「不安」をテーマとすることになったのは、

今年度の活動をはじめるにあたり、学生間で関心のあることをあげていったところ、みな何らかの「不安」を抱いていることが見えてきました。例えば、日本や世界の将来、自分の就活、人間関係、環境変動や経済など……。これらの「不安」のうち、簡単に解決できるものは多くありません。他の人の「不安」を知ることで「解決する」以外の向き合い方があるのではないかと考え始めました。

そこで、WiCANの学生メンバー以外の幅広い世代から「不安」を集め、それを一冊の本にまとめることにしました。今回開催する「不安読書習慣」という展示では、『不安300』と題したこの本を読む空間を生涯学習センターエントランスに設けます。他の人の「不安」を知ることで、その先の自分の不安との向き合い方に少しでも変化が生じるのではないかと期待しています。

実際、集めた「不安」を読んでみると「結局、「不安」とは無くならないもので、不安は誰もが持ち続けるものなのではないか」、「むしろ「不安」というものは、あらゆることの動機になるものなのではないか」などと考えるようになっていきました。

また、会期中の1/25(日)にはトーク・イベント「不安からはじめる」を行います。
第一部では、今回のプロジェクトに共に取り組んでいただいたアーティストの米谷健+ジュリアさんの制作活動についてお話を伺い、「不安は制作の動機」というお二人から学ぶ機会にできたらと考えます。
第二部は、みなさんにお寄せいただいた「不安」をもとに、参加者のみなさんと不安について語り合います。
表現者のお二人が、「不安」という動機からどのように表現活動を展開してきたのかをお聞かせいただく貴重な機会となります。

展示、トークイベント共に、ぜひご参加ください。

最後に「不安」を提供してくださった方々、そして、今年度のプロジェクトにご協力してくださった方々に感謝申し上げます。本当にありがとうございました。


information

◾️展示「不安読書週間」
会期:2020/1/19(日)〜1/31(金)9:00〜21:00
※1/27(月)は休館日、最終日は19:30まで

◾️トークイベント「不安からはじめる」
日時:1/25(土)19:00〜20:30
※ 申し込み: mail@wican.org まで、件名は「不安読書週間イベント参加」氏名と人数をお伝えください。 または、FacebookのWiCANページよりお申し込みください。( https://bit.ly/2MqxZRe)。当日のご参加も可能です。

会場:千葉市生涯学習センター
1階 アトリウムガーデン(展示)、研修室3(トーク・イベント)

問い合わせ先:千葉アートネットワーク・プロジェクト(WiCAN)
〒263-8522 千葉市稲毛区弥生町1-33
千葉大学教育学部芸術学研究室内
E-mail : mail@wican.org

URL : http://www.wican.org/
Facebook : https://bit.ly/2MqxZRe